製品特徴
心筋細胞用にカスタマイズされたゼラチン繊維不織布 (Genocel®) が配置された細胞培養用プレートです。ゼラチン繊維上で培養することで、心筋細胞の成熟化を促進し、収縮評価をはじめ、様々な評価が可能です。

⋄使用目的
- 抗がん剤の新毒性評価
- 急性毒性評
- 病態心筋の評価 等
⋄特長
◎簡便な収縮評価を実現
- 心筋細胞の収縮により、柔軟なゼラチン繊維が大きく変形するため、収縮挙動を簡単に感度良く検出できます。
- 透明性が良く、明視野観察で評価可能です。

◎機能的な成熟の促進
- 心筋細胞が自身の収縮によってゼラチンを変形させ、機械的刺激を通じて成熟を促進します。
- ゼラチン繊維上での細胞の配向により、機能的成熟を促進します。
◎過酷な条件下でも細胞が剥離せず評価可能
- ゼラチン繊維に接着した心筋細胞は、過酷な条件下でも剥離せず、定量的な評価を可能にします。
製品データ
サルコメア構造の発達
ゼラチン繊維に沿って配向したサルコメア構造が発達し、機能的な心筋に必要な構造形成をサポートします。
図1. ゼラチン繊維上のiPS心筋細胞のサルコメア構造の発達
・左:iPS心筋細胞(iCell® Cardiomyocyte2)のα-actinin蛍光免疫染色像。培養3日目からゼラチン繊維に沿ったサルコメア構造が発現し、培養15日にはより明確なサルコメア構造が観察された。
・右:サルコメア長(サルコメア構造の縞の間隔)が、培養7-15日で約2-2.2 µmに発達し、成体心筋のサルコメア長(約2.2 µm)を模倣した。

陽性変力作用の獲得
生理的な応答性を高め、成熟した心筋を模倣します。

図2. 様々な陽性変力作用薬の応答性
iPS心筋細胞で安定的な検出が困難とされている、薬剤により心筋の収縮力が増強する作用(陽性変力作用)を、機序の異なる薬でそれぞれ検出できた。
・図上段:収縮力波形
薬剤の投与前(黒線)に対し、薬剤の投与後(赤線)は、ピークの高さが増大し、収縮力が増大している。
・図下段:収縮と弛緩速度
薬剤による収縮・弛緩速度の変化が薬剤ごとに異なり、機序による応答性の違いを検出できている。
抗がん剤暴露後の収縮力、サルコメア構造、ミトコンドリア膜電位の評価
図3. 抗がん剤暴露72時間における収縮特性、構造の評価
・図上段:暴露72時間後の収縮力
コントロールのDMSOに対し、Nilotinibは収縮力低下し、Doxorubicin ではほとんど収縮するものの、小さい収縮が高頻度に観察された。
・図中段:暴露72時間後のサルコメア構造
コントロールのDMSOではゼラチン繊維に沿って、幅のあるサルコメア構造が規則的に発現しているのに対し、Nilotinibではサルコメア構造の幅が狭く、規則性が乱れた。Doxorubicinではゼラチン繊維に沿って発達したサルコメア構造の一部が剥離・消失し、いびつな形状となった。
・図下段:正常ミトコンドリア膜電位感受性色素(JC-10)
DMSOではミトコンドリア膜電位の変動により色素が凝集し、通常の生細胞と同様の挙動を示すのに対し、Nilotinibおよび、Doxorubicinでは色素の凝集が少なく、ミトコンドリア毒性があることが示唆された。

収縮力低下と、サルコメア構造の変化、ミトコンドリア毒性の発現、cTnTなどのバイオマーカーの検出を行うことで、統合的な毒性評価が可能である。
- 一般名称
- Genocel®Cardio Plate(ジェノセル カーディオ プレート)
- 販売名
- 心筋細胞評価用ゼラチン繊維不織布プレート Genocel® Cardio plate
- 承認番号
- 研究用商材
- 販売業者
- コスモ・バイオ株式会社
- 製造・販売会社
- 日本毛織株式会社・株式会社京都医療設計